シンギングボウルとチベット仏教の独自の音の世界

更新日:2023-04-25

シンギングボウル

チベット仏教の前身であるボン教とは

チベット仏教は、インドから伝来した仏教と古来チベットに根ざしていたボン教という土着宗教が融合し、独自の形を作り上げた宗教です。約7世紀頃に誕生したこの信仰は、自然神とシャーマニズムが特徴的なボン教の影響を受け、儀式や瞑想において「音」が重要な要素として扱われるようになりました。その中で、シンギングボウルという楽器が登場し、神聖な音として珍重されるようになりました。

チベット仏教では、ボン教が行っていた儀式を取り入れることで、ボン教との相互理解や折り合いを図りました。儀式や瞑想においては、「音」を集中的に使用し、神や自然とのコミュニケーションを図るために、純粋で調和の取れた音が求められました。シャーマンたちは、このような音を奉献のための「生贄の皿」として用いるシンギングボウルを作成しました。

宇宙を表すセブンメタル

シンギングボウルは、7種類の金属を用いて作られることから、「セブンメタル」とも呼ばれています。これらの金属は、それぞれ太陽系の惑星に対応しており、シンギングボウルはまさに宇宙そのものと考えられています。シンギングボウルから生まれる「倍音」は、神秘的で無限の広がりを感じさせる音であり、宇宙と融合し、調和された純粋無垢な音となっています。

シンギングボウルが奉献のための生贄の皿として使われる際、提供される贈り物は、あらゆる点で調和し、純粋な音である必要がありました。シャーマンたちが神や自然とのコミュニケーションのために求める音は、神聖で純粋なものでなければならず、シンギングボウルはその要求に応える存在として重宝されました。

瞑想やヨガ、リラクゼーションにも

現代では、シンギングボウルはその独特な音色や倍音による癒しの効果から、瞑想やリラクゼーション、音楽療法などの分野で広く活用されています。また、ヨガやマインドフルネスの練習にも取り入れられており、チベット仏教が発祥の地であるチベット以外の地域でも、その魅力が認められていることがわかります。シンギングボウルを使った瞑想やリラクゼーションでは、その純粋で調和のとれた音が、リスナーの心身を癒し、ストレス解消や集中力向上に役立っているとされています。さらに、シンギングボウルの音は、脳波をα波やθ波へ誘導し、リラックス効果や瞑想状態を促進するとも言われています。

また、シンギングボウルは、その美しい形状や神秘的な音の響きから、インテリアとしても人気があります。実際に使われることは少なくても、その存在感や物語性が空間に独特な雰囲気を与えるため、家庭やオフィス、スタジオなど様々な場所で飾られています。チベット仏教の独自の音の世界が生み出したシンギングボウルは、その歴史や背景に加え、神秘的な倍音や癒しの効果によって、現代社会でも多くの人々に愛されています。チベット仏教が持つ独特な価値観や哲学は、シンギングボウルを通じて広く伝えられ、世界中の人々に心の豊かさや癒しを提供しています。

まとめ

シンギングボウルは、古代チベット仏教の伝統と現代のニーズが融合した楽器であり、その魅力は今後もさらなる発展や広がりを見せることでしょう。シンギングボウルを通して、チベット仏教の音の世界を体験し、その深遠な響きや癒しの力に触れてみることは、私たちの日常生活に新たな価値をもたらすかもしれません。

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