奉納とは何か。奉献との違いは?
更新日:2023-04-30
シンギングボウル「奉納」と聞いてまず、神社に何かをお供えしたりすることが一般的にイメージされるものだと思います。この記事では奉納の意味や歴史などをご紹介させていただきます。
奉納の意味とは?
まず言葉の意味についてです。「奉納」とは神仏に喜んで納めてもらうために物品を供えたり、その前で芸能や競技などを行なったりすることです。分かりやすく説明すると、神社にお参りする際のお賽銭とは別に人々にとって「価値のあるもの」を納めて奉ることを奉納といいます。「奉納」と似たような漢字で「奉献」という言葉があります。「奉献」とは社寺や貴人などに、物をたてまつることをいいます。ここで2つの違いを表にまとめてみました。
奉納と奉献の違い
奉納 ・・・神仏に感謝や願いを込めて、物品や金銭、芸能、芸術作品などを捧げることを指します。主に神社や寺院で行われる宗教的な行為です。奉納は、信仰心を示すために行われることが一般的で、神仏からの恩恵を受けたり、願いが叶ったりした場合に感謝の意を示す目的で行われます。
奉献・・・自分の才能や力を、他人や社会のために無償で提供することを指します。これには、ボランティア活動や寄付、慈善事業などが含まれます。奉献は、他人や社会に貢献することを目的として行われる行為です。
もう少し具体的に言うと以下の違いがあります。
- 目的:奉納は神仏への感謝や願いを示すために行われるのに対し、奉献は他人や社会への貢献を目的として行われます。
- 対象:奉納は神社や寺院などの宗教的な場所に対して行われることが一般的ですが、奉献は宗教とは関係なく、様々な場所や団体に対して行われます。
- 形態:奉納は物品や金銭、芸能、芸術作品などを捧げることが主であり、奉献は自分の才能や力を無償で提供することが主です。
奉納はいつからはじまった?
次に奉納の歴史についてです。いつのころから奉納が始められたのかは特定できませんが、神話の時代、「古事記」や「日本書紀」にも既に踊りを奉納する場面があります。岩の向こう側に閉じこもってしまった天照大神(アマテラスオオミカミ)のために他の神々たちは、踊りを奉納したのです。その賑やかな様子に興味を持ったアマテラスが岩の陰から覗いたところを他の神が岩を取り除き、再び世の中を太陽が照らしはじめたと言われています。
古くから生活の中で、人間の力ではどうすることもできない圧倒的な力を持つものとして「神」や「自然」を意識し、敬いながら、畏れを感じながら祀ってきました。狩猟生活をする山の民は「山の神」を信仰し、農耕を営む人々は「田の神」を称え、漁を行う漁村の人々は「海の神」に祈りながら大漁を願ったのです。人々が神に捧げたものはさまざま。金銭や宝物にはじまり、神楽(かぐら)や謡曲(ようきょく)を神に捧げ、山車(だし)や神輿(みこし)に神を乗せ、町を練り歩きました。
まとめ
この記事では奉献と比較しながら奉納の意味や、奉納のまだ知られていない歴史について紹介させていただきました。奉納は密かにに行なわれることもあることから、まだまだ知られていないことがたくさんあります。ぜひ皆さんも調べてみてください。