日々の音が心を整えるーウェルビーイングと音の深いつながり
更新日:2025-05-20
ウェルビーイング
音は、私たちの「心の気象予報士」
私たちは毎日、無数の「音」に囲まれて暮らしています。
朝の目覚まし時計、鳥のさえずり、街を行き交う車の音、誰かの声、好きな音楽。気づいていないかもしれませんが、これら一つひとつの音が、私たちの心と体に少しずつ影響を与えています。
音は目に見えないけれど、心の奥にそっと入り込み、気分を良くしたり、逆に落ち込ませたりする力を持っています。
つまり、音は「心の天気」を左右する予報士のような存在なのです。
音が感情に触れるしくみ
人間の耳は、単に音を「聞く」ためだけの器官ではありません。音は耳から入って脳へ伝わり、私たちの感情や記憶と深く結びついています。
たとえば、心が沈んでいるときにやさしいピアノの旋律を聴くと、自然と涙がこぼれたり、逆に気持ちがスッと軽くなったりした経験はないでしょうか。
これは、音が脳の「感情を司る部位」に働きかけているからです。
同じように、騒がしい場所に長くいるとイライラしたり、不快感が増したりするのも、音の刺激によって心身のバランスが乱れるためです。
心地よい音の与える影響とは?
では、どのような音がウェルビーイングに良い影響を与えるのでしょうか。
その一つが「自然音」です。
波の音、雨音、風の音、鳥のさえずりなど、自然界の音には「1/fゆらぎ」と呼ばれる独特のリズムが含まれており、これは私たちの脳波や心拍数と調和しやすいとされています。
この“ゆらぎ”は、心をリラックスさせ、自律神経を整える効果があるといわれており、ストレス緩和や集中力アップにも役立ちます。
また、特定の周波数の音(たとえば528Hzや432Hzなど)は、癒しやバランス調整に使われることもあります。これらは医学的なエビデンスがまだ発展途上とはいえ、体感として心地よさを覚える人が多いのも事実です。
毎日の暮らしに「音のケア」を
忙しい日常の中でも、意識して心地よい音を取り入れることで、私たちは自分自身の状態を整えることができます。
たとえば――
- 朝の支度中に、ゆったりとした音楽を流して心を落ち着かせる
- 夜の入浴中に、水の音やヒーリングミュージックを聴く
- 通勤中に、鳥の声や自然音の音源を耳にする
- 寝る前に、好きなシンギングボウルの音で深呼吸する
このような音との関わり方を続けることで、感情の起伏が穏やかになり、日々のストレスとも上手に向き合えるようになります。
音は「今ここ」に戻るための道しるべ
心が散らかっているとき、不安や焦りにとらわれているとき、音は私たちを「今、ここ」に引き戻してくれる存在です。
余計な思考を手放し、自分自身の呼吸や鼓動に意識を向けることができるようになります。
ウェルビーイングとは、単なる健康状態ではなく、「心地よく、安心して生きている」という全体的な幸福感のこと。
そのベースに「音の力」を取り入れてみると、毎日はもっとやさしく、深く、豊かに彩られていくでしょう。