心に残る音・自然・歴史、日本の音風景100選

心に残る音、日本の風景。

私たちの暮らす日本には、目に見えないけれど、確かに心に届く「音の風景」が存在します。1996年、環境庁（現・環境省）は全国から公募された「音」にまつわる地域の宝物を集め、未来に残すべき100の音風景を選定しました。自然の音、暮らしの音、祭りの音―それぞれが日本の文化や風土を映し出しています。
ここでは、その「日本の音風景100選」を、地域別にシンプルにご紹介します。

■北海道エリア

1. オホーツク海の流氷
2. 時計台の鐘（札幌市）
3. 函館ハリストス正教会の鐘
4. 大雪山旭岳の山の生き物（東川町）
5. 鶴居のタンチョウサンクチュアリ（鶴居村）

■東北エリア

6. 八戸港・蕪島のウミネコ
7. 小川原湖畔の野鳥
8. 奥入瀬の渓流
9. ねぶた祭・ねぷたまつり（青森市、弘前市）
10. 碁石海岸・雷岩
11. 水沢駅の南部風鈴
12. チャグチャグ馬コの鈴の音
13. 宮城野のスズムシ
14. 広瀬川のカジカガエルと野鳥
15. 北上川河口のヨシ原
16. 伊豆沼・内沼のマガン
17. 風の松原
18. 山寺の蝉
19. 松の勧進の法螺貝
20. 最上川河口の白鳥
21. 福島市小鳥の森
22. 大内宿の自然用水
23. からむし織のはた音

■関東エリア

24. 五浦海岸の波音
25. 太平山あじさい坂の雨蛙
26. 水琴亭の水琴窟
27. 川越の時の鐘
28. 荒川・押切の虫の声
29. 樋橋の落水
30. 麻綿原のヒメハルゼミ
31. 柴又帝釈天界隈と矢切の渡し
32. 上野のお山の時の鐘
33. 三宝寺池の鳥と水と樹々の音
34. 成蹊学園ケヤキ並木
35. 横浜港新年を迎える船の汽笛
36. 川崎大師の参道
37. 道保川公園のせせらぎと野鳥の声

■甲信越エリア

38. 富士山麓・西湖畔の野鳥の森
39. 善光寺の鐘
40. 塩嶺の小鳥のさえずり
41. 八島湿原の蛙鳴
42. 福島潟のヒシクイ
43. 尾山のヒメハルゼミ

■東海・北陸・関西エリア

44. 遠州灘の海鳴・波小僧
45. 大井川鉄道のSL
46. 東山植物園の野鳥
47. 伊良湖岬恋路ヶ浜の潮騒
48. 伊勢志摩の海女の磯笛
49. 卯建の町の水琴窟
50. 吉田川の川遊び
51. 長良川の鵜飼
52. 称名滝
53. エンナカの水音とおわら風の盆
54. 井波の木彫りの音
55. 本多の森の蝉時雨
56. 寺町寺院群の鐘
57. 蓑脇の時水
58. 三井の晩鐘
59. 彦根城の時報鐘と虫の音
60. 京の竹林
61. るり渓
62. 琴引浜の鳴き砂
63. 淀川河川敷のマツムシ
64. 常光寺境内の河内音頭
65. 垂水漁港のイカナゴ漁
66. 灘のけんか祭りのだんじり太鼓
67. 春日野の鹿と諸寺の鐘
68. 不動山の巨石で聞こえる紀ノ川
69. 那智滝

■中国エリア

70. 水鳥公園の渡り鳥
71. 三徳川のせせらぎとカジカガエル
72. 因州和紙の紙すき
73. 琴ヶ浜海岸の鳴き砂
74. 諏訪洞・備中川のせせらぎと水車
75. 新庄宿の小川
76. 広島の平和の鐘
77. 千光寺驚音楼の鐘
78. 山口線のSL

■四国エリア

79. 鳴門の渦潮
80. 阿波踊り
81. 大窪寺の鐘とお遍路さんの鈴
82. 満濃池のゆるぬきとせせらぎ
83. 道後温泉振鷺閣の刻太鼓
84. 室戸岬・御厨人窟の波音

■九州・沖縄エリア

85. 博多祇園山笠の舁き山笠
86. 観世音寺の鐘
87. 関門海峡の潮騒と汽笛
88. 唐津くんちの曳山囃子
89. 伊万里の焼物の音
90. 山王神社被爆クスノキ
91. 通潤橋の放水
92. 五和の海のイルカ
93. 小鹿田皿山の唐臼
94. 岡城跡の松籟
95. 三之宮峡の櫓の轟
96. えびの高原の野生鹿
97. 出水のツル
98. 千頭川の渓流とトロッコ
99. 後良川周辺の亜熱帯林の生き物
100. エイサー

音の記憶が、心をつなぐ。

「日本の音風景100選」は、私たちが暮らすこの国の“音の遺産”とも言える存在です。風が木々を揺らす音、神社の鐘の響き、田んぼのカエルの合唱、祭りの熱気を伝える太鼓や掛け声――それらはすべて、土地に根ざした生活や文化、そして自然の営みの一部として、今日まで大切に受け継がれてきました。
目に見える風景は時に大きく変わっても、耳をすませば、そこに今も息づく音があります。その音は、記憶を呼び起こし、心を癒し、私たちに「いまここ」を感じさせてくれます。
都市化やグローバル化の進む中で、こうした繊細な“音の風景”を守り伝えていくことは、私たち自身の感性やアイデンティティを守ることにもつながります。ふるさとの音、大切な人と聞いた音、旅先で偶然出会った音――それぞれの記憶と結びついた音風景が、人生にそっと寄り添ってくれるはずです。
どうかこの100の音風景の中から、あなたの心に響く“ひとつ”を見つけてみてください。そしてその音が、これからの人生の小さな道しるべとなりますように。

引用参考：Wikipedia：日本の音風景100選