香りに導かれて感情がほどけていく ─ 香りは“記憶”と“安心”を呼び起こす
更新日:2025-05-10
ヒーリング
香りは、言葉よりも深く心に届く
疲れて帰ってきた夜、ふと香るお茶の匂いや、誰かの香水、雨上がりの土のにおいに、涙がこぼれそうになることはありませんか。
香りは、言葉よりも先に、感情に触れます。それは私たちの脳の仕組みに深く関係しています。香りが届く「嗅覚」は、思考をつかさどる前頭葉を経由せず、記憶や感情と直結する“扁桃体”や“海馬”に直接届くのです。
つまり香りは、理屈ではなく「感じる力」に働きかけ、忘れていた感情をそっと思い出させたり、今この瞬間の自分をやさしく包み込んだりする、目に見えないセラピストのような存在なのです。
香りの力は、自律神経も整えてくれる
心が落ち着かないとき、香りを深く吸い込んでみてください。実は、香りは「嗅ぐだけ」で副交感神経を活性化し、緊張状態をゆるめてくれます。
たとえば、ラベンダーやオレンジ・スイート、ゼラニウムといったエッセンシャルオイル(精油)は、不安やストレスを和らげ、呼吸を深くする作用が知られています。
さらに香りには“今ここ”に意識を戻す力もあります。過去や未来に意識がさまよっているとき、香りは一瞬で「いまの自分」を感じさせてくれるのです。
実践①:今の自分に合う“香り”を選んでみる
香りの世界には正解も不正解もありません。「この香り、好きだな」「今の自分にしっくりくる」と思えたなら、それがあなたに必要な香りです。
おすすめの香りとその特徴:
- ラベンダー:緊張・不安・不眠に
- ベルガモット:気分を明るくしたいときに
- ローズマリー:集中力・思考のクリアさを取り戻したいときに
- フランキンセンス:深い呼吸、瞑想との相性が良い
- サンダルウッド:グラウンディング、安心感、内観のサポートに
まずは1本だけ、お気に入りの香りを手に取ってみましょう。ハンカチやティッシュに垂らして、深呼吸を3回。それだけで心が整っていくのを感じられるはずです。
実践②:1日の中に「香りの習慣」を取り入れる
香りは、その瞬間だけでなく、繰り返し使うことで「心のスイッチ」をつくることができます。
たとえば:
- 朝:ベルガモットやレモンでスッキリ目覚める
- 日中:ローズマリーで気持ちを切り替える
- 夜:ラベンダーやサンダルウッドでリラックス&眠りの準備
香りの力を借りて、一日の中に意識的な“切り替えポイント”をつくることで、感情の波に振り回されず、落ち着いた自分に戻りやすくなります。
また、お風呂に精油を数滴垂らしたり、寝る前に枕元に香りを忍ばせるのも効果的です。
香りを通して、本当の自分に出会う
香りは、日常の中にそっと寄り添ってくれる存在です。忙しさやストレスに埋もれて見えなくなっていた感情を、やさしく掘り起こし、もう一度「本当の自分」を思い出させてくれます。
香りを選ぶことは、自分を大切に扱うこと。あなた自身の状態に耳を澄ませ、今必要な“香りの処方箋”を見つけてみてください。
今日から少しずつ、あなたの感情がほどけていく時間を、香りと一緒に始めてみませんか。